『イソップ寓話集』 渡辺和雄訳 小学館 

について、
「この本は、児童書と勘違いされることがあるが、イソップ伝は決して子供向きではない」
と書いたのですが、根拠を書かなかったために、色々とご迷惑をおかけしてしまったようなの
で、補足します。これは、話が難解であるというような意味ではありません。"下"の話があると
いう意味です。但し当HPには小学生も大勢見に来るので、内容は書きません。

渡辺氏の翻訳された、イソップの伝記は、(G)本をベースにして、その欠落部分を(W)本で補って
いるようなのですが・・・・。まずこの(W)本で補っている部分に、所謂「コキュ」の話が載ってい
るのです。P284

更に、イソップがデルフォイで捕まってから語る寓話には、
「寡婦と農夫」「愚かな娘」「娘に恋をした男」などの話があります。
これらは、ペリー版の388 386 379 です。この他、イソップの伝記からは、7話がペリー版
に含まれています。

拙者はこれらを児童に読ませたいとは思わないのです。

余談ですが、このイソップの伝記には、シュタインヘーヴェル系統の挿絵がつけられており、
「クサントスが海の水を飲み干す」という場面には、次のような絵が使われています。おそらく
選者は、この絵を、「クサントスが横臥して海の水を飲むところ」と考えたのかも知れませんが
(ギリシアの饗宴の描写には、横臥していることがある)、



しかし、この挿絵は本来は、「クサントスの妻が尻を見せて寝ている」というような話なのです。
それは、クサントスの妻が「私は尻に目がついているので、寝ていても平気だ」とイソップに言った
ために、イソップが、尻が隠れていては、見えないだろうと、衣服をまくり上げておく。という設定で
です。(この話は、(G) 本には、含まれていない)

本来、クサントスが海の水を飲み干すシーンの挿絵は、次のようなものです。




この本が児童向きではないといっても、この本が素晴らしいということにはかわりは
ありませんので、どうかその点をお間違いないようお願い致します。
当HPでは、この本を大変参考にさせて頂いております。

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