ESOPONO FABVLAS.
Inuga nicuuo fucunda coto.
Aru inu xiximurauo fucunde cauauo vataruni, so- no cauano mannacade fucunda xiximurano cague- ga mizzuno soconi vtcuttauo mireba, vonorega fu cunda yorimo, ychibai vo>qinareba, caguetoua xi- raide, fucundauo sutete mizzuno socoye caxirauo ire te mireba, fontaiga naini yotte, sunauachi qiyevxe- te dochiuomo torifazzuite xittcuiuo xita. Xitagocoro.
Tonyocuni ficare, fugio<na cotoni tanomiuo ca- qete vaga teni motta monouo torifazzusunatoyu< coto gia. |
エソポの ハブラス。
イヌが 肉(にく)を ふくんだ こと。 ある イヌ 肉(ししむら)を ふくんで 川を 渡るに、そ の 川の 真中で ふくんだ 肉(ししむら)の 影 が 水の 底に 映ったを 見れば、おのれが ふ くんだ よりも、一倍 大きなれば、影とは 知 らいで、ふくんだを 捨てて 水の 底へ 頭(かしら)を 入れ て みれば、本体が 無いに よって、すなわち 消え失せ て どちをも 取り外(はづ)いて 失墜(しっつい)を した。 下 心。
貪欲(とんよく)に 引かれ、不定な ことに 頼みを 掛 けて 我が 手に 持った 物を 取り外すなという こと ぢゃ。 |
原本 赤で囲まれている部分が、「イヌが肉をふくんだこと。」 |
|
|
|
本来は、(444.と445)
(446.と447)が見開きのページとなっていますが、 便宜上 (445.と446)を並べて掲載しました。 ですから本来は、左側のページに、「ESOPONO」 右側のページに、「FABVLAS.」と表記されています。 この頃は、大文字の場合、「U」 も 「V」 もどちらも「V」で表記されました。現在は、FABULAS と表記されます。 |
古活字版伊曽保物語 巻中 十三 [原文] 古活字版伊曽保物語 [変体仮名] 巻中 十三 いぬと志ゝむらの事 あ流いぬ志ゝむらを具八へて河をわ多流まんな可 本と尓て楚の可け水丹うつ里て大き尓みえけ連八 わ可く八ゆ流所乃志ゝむらよ利大起なると心えて 古連を春てゝ可連を登らんと須可流可ゆへ尓ふ多 徒な可ら是をうしなふ楚の古とくちうよく志ん乃 とも可ら八他のた可らをうら屋三古と尓ふ連てむ さふ流程尓たちまち天罰を加う無るわ可も川所乃 た可らをもうしなう事あ利介利 |
[変体仮名を基となる漢字で表示] 変体仮名一覧 古活字版伊曽保物語 [現代仮名・濁点・句読点] 巻中 十三 いぬと、しゝむらの事 あるいぬ、しゝむらをくはへて、河をわたる。まんなか ほどにて、そのかげ、水にうつりて、大きにみえければ、 わが、くはゆる所の、しゝむらより、大きなると、心えて、 これをすてゝ、かれを、とらんとす。かるがゆへに、ふた つながら、是をうしなふ。 そのごとく、ぢうよくしんの ともがらは、他のたからを、うらやみ、ことにふれて、む さぶる程に、たちまち天罰を、かうむる。わがもつ所の たからをも、うしなう事ありけり。 |
万治版伊曽保物語 巻中 変体仮名 (変 体仮名一覧) 第十三 犬(いぬ)志ゝむら能事 或犬(あるいぬ)志ゝむらをく八へ天。川を渡(王多る)。真中(まん奈可)尓て其影(その可げ)水(三づ)尓う川 里て大きに見衣遣れ八゛。我(王可゛)く八ゆる所能志ゝむらよ利大成(於本き奈る)と心 得(へ)天。是を捨(すて)て可れをとらんと春。故(可る可゛ゆへ)に二川奈可゛ら是を失(うし奈ふ)。其 ごとく重欲心(志゛うよくしん)能輩(とも可゛ら)八。他(た)能宝(多可ら)をうらや三。ことにふ連天むさ ふる程に。多ちまち天罰(てん者゛つ)を蒙(可うふる)。我持所(王可゛もつところ)能宝(た可ら)を毛失事有(うし奈ふことあり) 万治版伊曽保物語 巻中 現代仮名 第十三 犬(いぬ)しゝむらの事 或犬(あるいぬ)しゝむらをくはへて。川を渡(わたる)。真中(まんなか)にて其影(そのかげ)水(みづ)にうつ りて大きに見えければ。我(わが)くはゆる所のしゝむらより大成(おほきなる)と心 得(へ)て。是を捨(すて)てかれをとらんとす。故(かるがゆへ)に二つながら是を失(うしなふ)。其 ごとく重欲心(じうよくしん)の輩(ともがら)は。他(た)の宝(たから)をうらやみ。ことにふれてむさ ふる程に。たちまち天罰(てんばつ)を蒙(かうふる)。我持所(わがもつところ)の宝(たから)をも失事有(うしなふことあり) |
Translated by Thomas James. Illustrated by John Tenniel THE DOG AND THE SHADOW FABLE 24 A DOG had stolen a piece of meat out of a butcher's shop, and was crossing a river on his way home, when he saw his own shadow reflected in the stream below. Thinking that it was another dog, with another piece of meat, he resolved to make himself master of that also; but in snapping at the supposed treasure, he dropped the bit he was carry- ing, and so lost all. Grasp at the shadow and lose the substance -- the common fate of those who hazard a real blessing for some visionary good. |
渡辺温訳 明治6(1873)年 第十八 犬と 犬。 寓話24 犬と影 ある犬が、肉屋から肉を一切れちょろまかし、家に帰る途中、川を渡っていた。彼は流れに映る自分の影を見て、他の犬が肉をくわえているのだと思い、その 肉も我が物にすることに決めた。 こうして彼は、その獲物に飛びかかって行ったのだが、結局彼は、自分で運んでいた肉を落とし、すべてを失った。 影をつかんで、実体を失う・・・それは、幻影を求め、実際の幸福を危険にさらす者たちの宿命である。 |
Thomas Bewick. The Dog and the Shadow. A DOG, crossing a little rivulet with a piece of flesh in his mouth, saw his own shadow represented in the clear mirror of the limpid stream; and believeing it to be another Dog who was carrying another piece of flesh, he could not forbear catching at it; but was so far from getting anything by his greedy design, that he dropt the piece he had in his mouth, which immediately sunk to the bottom, and was irrecoverably lost. MORALS. Excessive greediness mostly in the end misses what it aims at; disorderly appetites seldom obtain what they would have; passions mislead men, and often bring them into great straits and inconveniences, through heedlessness and negligence. |
新訳伊蘇普物語 上田万年 解説 梶田半古 挿絵 明治四十(1907年) 第百十八 犬と影 |