「イ ソップ」の世界

新訳伊蘇普物語 上田万年 解説 梶田半古 挿絵

第八 羊と烏



 ある日一羽の烏が、羊の(せなか)に 止つて、カアカアと啼いて居りました。其処で羊が、『アア、お前も犬なら正可(まさか)其 様(そんな)ことも()ま いに・・・・・・』と言いますと、烏が笑つて、『ヘン当然(あたりまえ)だ。(お れ)わな、(だれ)わ 馬鹿にしても介意(かま)わぬ、誰にわ阿 諛(おべツか)を使わなければならぬと云うことを、(ち やん)と知つて()る のだ。口喧(くちやかま)しい奴にわ成るだけ穏か にするし、踏つけにしても唯々(へいへい)言つて 居る奴にわ、思う存分悪戯(わるさ)をしてくれる のさ。』

 訓言 気力なければ一人(いちにん)朋 友(ほうゆう)だも得難し。

 解説 人の軽侮(あなどり)を甘んじて受けるの わ意気地のない話です。言うにも足らぬ相手ならは兎に角、()も なければ、自分の品位わ保たねばなりません。此の烏わ弱い者を侮り、強い者を怖れる無頼漢(な らずもの)()く 似て居るのです。又此の話わ一箇人よりも、寧ろ一国の政府に取つて()い 誡です。西洋の諺にも、『戦争を避けるにわ、一と(いくさ)す るだけの用意をしておけ。』と云うことがありますが、真実(まツたく)武 備のない国民わ、他国から幾許(いくら)軽蔑され ても為方(しかた)がありません。

Phaedrus6.26, Perry553, Cax4.19, L'Es79, E.Griset166, Townsend284, TMI W121.2.3
注:  「新訳伊蘇普物語」の初版は明治40年11月だが、どうも、ヒツジとヤギの区別がつかなかったようだ。



はじめに

次のアンケートにお答え頂けると、大変有り難いです

(現在アンケートは行っておりません)

1.「蝉と蟻」(アリとキリギリ ス)というお話をご存じ ですか? はい。 いいえ。
---------------------------------------------------------------------------------------------

2.この話の結末なのですが、皆 さんの読んだお話は、ど のようなものだったでしょうか?

  アリはキリギリスに食べ物を、 イ.分 けてやる   ロ.分けてやらない ハ.その他
------------------------------------------------------------------------------------------------

3.年齢
-----------

以上につきまして 下のアンケート用ゲストブックに書き込んで頂けると大変有り難いです。

ジオシティーズのサーバーのトラブルによ り、2002年11月20日から12月20日まで の、
ゲストブックのデータが消失してしまいました。アンケートにお答え下さいました皆様
申し訳ありませんでした。

アンケート用ゲストブック  アンケートに答える  アンケートを見る 過去ログ1. 2. 3. 4.

アンケートの趣旨  アンケート結果 2002/11/20 日現在



これであなたも「イソップ博士」イソップ寓話の基礎知識

「イ ソップ寓話集」日本語訳312話 2012/2/08 誤字訂正

「犬と肉」について 2003/4/23 中学生に活用してもらうためにまとめました。2003/09/04 英文注の誤記、その他訂正

兎にまつわる話 2000/9/6 アリストテ レスについての筆者hanamaの誤りについて訂正。

「アリとキリギリス」にまつわる話「アリと キリギリス」を巡っての比較文化 など 2017/03/08 訂正

狼にまつわる話  「狼に関する寓話44話」「狼少 年について」 など

「日本の古典」と「イソップ寓話」

「イソップ」の肖像

熊の敷石 2001/3/1 

伊曽保物語 上 14『中間とさふらひと馬をあらそう事』の類話について 2018/12/25 new

伊曽保物語 下 34『出家と盗人』とOdo of Cheriton『罪人のために聖者は祈る』 2000/4/22

「鼠と蛙」と「蛙と鼠の合戦」

竜の話 その二  2000/3/16  狐ラインケ 伊曽保物語 グリム童話など

「ルソーのラ・フォンテーヌ寓話批判の誤謬」と「イソップ寓話」

「粉屋と息子と驢馬」と「パンチャタントラ」

「亀と鷲」と「亀と二羽の白鳥」につ いて イソップ 寓話とインド説話を比較してみたいと思います。


主な参考文献

掲示板は只今メンテナンス中

リンク集


「グリム童話」の世界 

「イソップ」の世界 別館  
キリシタン版 「エソポのハブラス」 「言葉の和らげ」 「古活字版伊曽保物語」 「万治版伊曽保物語」 「福沢諭吉童蒙教え草」

メールフォーム

inserted by FC2 system